制作メモ１７：『自分REST＠RT』LIVE in 武道館 765PRO ALLSTARS アイドルマスター

観て下さった皆様、コメント・マイリス・宣伝を入れてくれた皆様、誠にありがとうございました！

『自分REST＠RT』LIVE in 武道館 765PRO ALLSTARS アイドルマスター


では、このblogの本題である制作メモです。解説のようなものです。
『作ったMADの記録を残しておこう。きっと後で見ると恥ずかしい参考になるだろう』という主旨です。


格納します

・・


■制作環境
　・Hardware:
　　　- PhenomⅡX4 940Black Edition, 16GB DDR2, GeForce430GT, MonsterX-3
　・Software（映像）
　　　- Adobe Premiere Pro CS5, After Effects CS5, Photoshop CS5 Extended
　・Software（音）
　　　- Adobe Premiere Pro CS5
　・Software（エンコード）
　　　- つんでれんこ ver2.55

前作から変わっていません。そういえば言及したことがなかったかもしれませんがWindows95時代からずっと自作PCです。メモリが増えたお陰で、処理速度がもう少し欲しいと思うことがたまにある以外特に不満はありません(かかる時間の殆どは手作業の時間なので)。Pentium4が嫌でAthronに一時避難したつもりがずるずると続いて今に至ります。Sandy Bridgeで組みたかったんですが機を逸してしまったかなー。

使用ソフトも前作と同じです。相変わらずPremiere Proで音編集しています。


■選曲の経緯
普段からライブ風PVを作っている私にとって、アニメ13話のライブシーンを見て再現したいと思うのは自然な流れで、課題曲でした(笑)。前作「CHANGE!!!!」で初めてアイマス2をまともに使ったMADを作ることが出来たため、これなら自分REST@RTのライブシーンも作れるかなという自信ができたのでDLCが配信されたのを機に挑戦に踏み切った次第です。
それにしてもアニメアイドルマスターの新曲はいい曲ばかりですね。この曲もアニメで使われた１番だけでなく2番以降もとても良いのです。「私はアイドル」風かな。フルで聞いたことの無い方は是非CDを買って聴くことをお勧めします(何故か宣伝)。


■全体の方針
演出の全体の方針は以下の通り
　1. アニメのライブシーンを再現する
　2. 13人に増やしてALLSTARにする
　3. 「夢から覚めないでいて」をそれっぽく再現できなかったらボツにする
1,2は矛盾するのですが、ただの再現じゃ面白くないし、オールスターで歌ってもらえたら楽しいだろうなと思い断行しました。どうやってやるかは後先考えていませんでしたが。
3.はこの曲のビジュアル面でのキーになるところ、かつ、ノーマルPVとダンスが大きく違うところなので、再現風MADとしてここは絶対外せないだろうと思っていました(皆さん同じこと考えていたでしょうが「あの響どうするよ」というところですね)。なので、まず最初に3.のシーンから作り始め、出来たら制作GOしようと思っていました。

1.のアニメ再現についてもう少し。DLCが出た時点でアニメのライブシーンの出来の凄まじさが分かってしまったこと、ゲームではどうしても5人までしか同時にステージに立てないというもどかしさがあったことから、なんとかして、なんとかして、ゲーム上の皆にも同じことをさせてあげたかった、というのがモチベーションになっていました。アニメから入った視聴者がこれを見てゲームにも興味を持ってくれるといいな、という思いもあったり。ちょっとこれは奢りすぎですが。

なお、ソフトの使い方は今回も
・基本はPremiere Pro(以下Pr)で組んでいく
・観客等のパーツ作り、抜きはAfter Effects(以下AE)でやる
・エフェクトを追加したい部分(特にOptical Flairなどの光関係)は一旦AEに持って行ってPrに戻す
という風にしています。未だ全AE化はしていません。全部AEで組める人って凄い。


■個々の演出について
思いつくままにいくつかポイントになったところを挙げます

1. 冒頭について

私は毎回、1カット目から通常ではあり得ないカットを入れて驚かすことを心がけて動画を作っています。しょっぱなの印象は大事ですから。
「自分REST@RT」はノーマル状態でも珍しいアングルから始まる曲なのでこれを活かしたいと思い、抜きを使って2列化し、3人x2列を左右に見立ててセンター春香の後ろ向きUp(タイトルを潰すためにMidを使う)に繋いで13人見せるという作戦でいきました。1カット目は2列化＆左右反転したアングルです。反転させると都合の悪い髪型の人が一人居たので(亜美)ちょっと困りましたが真美の反転からサイドポニーの下の方を1フレームずつ潰して亜美っぽくしました。
めんどくさかった割にはゲーム本来の冒頭部分を知らないと驚いてもらえないので、今回はちょっと地味だったかなーと思っています。




2. 抜きキャラ

CHANGE!!!!に引き続き、抜きを多用しました。カットの切り替わりが速いため抜く時間がそれぞれのシーンで2秒(30fpsで60フレーム)ぐらいしかないので、今回は全てAEのロトブラシで抜きました。このロトブラシ、キャラへの追従性があまり良くなく、結局1フレームずつ修正していくことになるので、制作時間の大半は抜いている時間になりました。なお、前回も書きましたがロトブラシ抜きのコツについてはけるまPのブログが大変参考になりました。けるまん堂にはマジ感謝です。

こういうところはもちろん、



こんなところでもしれっと抜きキャラを仕込んでいます。





また、L4Uと違って正面固定カメラが無いのでロングで代用せざるを得ないため、超ロングアングルで使えるシーンが限られています。L4Uでもバグ技だったので本来使えなくて当然ではあるのですが、ブルーバックがないことと並んで多くのPVPが悩んでいるところですね。



例えば上のダンスで正面ロングとして使えそうなのはクインテットにした時の一番右のキャラ（ここではやよい）だったので、
一番右を抜きたいキャラにした素材を13本撮って1人ずつ抜いていきました。これで済むところはこれでいいのですがどうやってもロングで正面を向かないカットも当然ありますから(例えばかなり斜め上からの俯瞰カメラになっている時)、そういうカットでは超ロングアングルを諦めてMidにしたりしています。
ブルーバックと正面固定カメラ、どちらかでもいいから欲しいですマジで。


3. 無人ステージ

今回使用した無人ステージは「CHANGE!!!!」の使い回しです。というか今後も武道館ステージで作る際は追加や修正はするでしょうが使い回し続けるでしょう。かなり制作の時短に貢献しました。作り方は前作の制作メモを参照。

超ロング１


超ロング２


斜めアングル



4. 夢から覚めない「で」「い」「て」

兎に角、アニメで印象的だったこのシーン。DLCでのダンスを見てがっかりされた方も多かったかと思います(笑)。アニメーターさんナイスアレンジです。困りました。

「で」の春香：
ノーマルPVのままでも大体同じなのですが、動きが小さくさっぱり躍動感が出ないので別ダンスから拝借しました。The World is all one! の「ひとりでは」の部分の左右反転を倍速で動かしています(良く見ると春香の胸アクセサリが左右逆)。



「い」の真美：
ノーマルPVと異なる動きです。GO MY WAY!の「さあ行こう」の部分を倍速で動かしています。



「て」の響：
ノーマルPVと異なる動きかつ最大の難関です。複数の方からあれをどうやって作ったと聞かれたのでタネ明かしします。真横向いてああいう動きするダンスがなかなか無くてダンス探しから苦労しました。

ダンスはHoney Heartbeatの「潮風 湾岸ストリート」の部分です。センターキャラを囲んでぐるぐる回っているところですね。クインテットじゃないと所望のアングルになりません。HHBは変わった動きが多いので「困った時のHHB」で意外とお世話になっています。



抜きます。



これだと口と表情が全然違うので加工します。
口はAEで楕円を描いて反転マスクにすると、口の部分がそれっぽい形で開きます。あとは位置と形を調整します。



次に眉毛を変えます。AEでPhotshop連番出力して1フレームずつ眉毛をつぶし、AEに読み込み直します。



眉毛をAEで付け足します。別にAEである必要はないですが動画編集ソフトでないとフレーム間で眉毛が滑らかに顔に追従しているかどうか確認しずらいのでこうします。



最後に背景とスポットライト(Optical Flair)・Edgeblurを使った逆光処理・照明効果のEffectをかけて、紙吹雪を追加して出来上がり。



案外できるもんです。


5. 俺ら

最近、観客とサイリウムを作る技術しか向上していない気がします。
アイマスライブに行ったことのある方にとっては、
・全員登場したらサイリウム全部折ってバルログ持ち
・見事に調教された俺ら
は見なれた光景ですよね(笑)。という訳で今回はバルログ大量発生、観客のモーションパターン増を試みました。アニメではウルトラオレンジ1本持ちでしたがアイマスライブ風の方が楽しいですよね。ちなみに4人に1人は1本持ちになっているのですが目立ちませんね。

AEで作って(この時点では3D)、書き出した後、配置をPr上で行うという作り方をしています。
(配置も3Dで行う必要が出てきたらそのカットを全部AEで作ることになるのでしょう)

ベースは「負けないで」で作ったL4Uの覚醒美希(ポジティブの「ふっふー」の部分)にAEで作ったサイリウムを持たせたモデルです。観客とサイリウムは別パーツです。

サイリウムはバルログ持ちバージョンを作って、前後に振らせたり左右に振らせたりモーションをつけていきました。バルログサイリウムをヌルフレームで固めて、左右振りはアンカーポイントを手の辺りにずらしてエクスプレッションの回転 math.cos(time*M)*N (M,Nは適当)、前後振りは手動でキーフレームを打って3D空間上で前後の回転をさせています。




6. 逆視点

今回は決まったダンスのまま後ろを向かせる必要があった(後ろ向きのダンスを使うという訳にいかなかった)のでどうしたもんかと思いましたが、なんとか誤魔化せました。これは見たまんまです。抜いて左右反転して真っ黒にして正面からライトが当たっているような背景にした上で逆光表現風にフチを光らせて一丁上がりです。AEの3Dでライトを使った訳ではなく、Optical Flairの光をAEで配置した以外はPr上で加工しています。
武道館の観客席はアイマス無印のもので、観客は5.の俺らを大量に置きました。




7. 雪歩のウインク

これも象徴的なシーンなのでウインクさせないと許されない感じです(笑)。
やり方は大したことはなく、まばたきを片側だけさせているだけです。2本素材を撮れば大抵まばたきのタイミングがずれていますから、まばたきしているカットとしていないカットを混ぜればいっちょあがり...と思ったらまばたきだとつぶっている時間が短すぎるので、結局つぶっている目と半開きの目をくり抜いて福笑い的に顔に置きました。位置調整を1フレームずつします。
ただ、そこまでやるんだったら何故ウインクのタイミングをアニメと完全一致させなかった！と後で反省することになった次第。




8. 音源について

動画についたコメントを見るとどうも私がコールをつけたと思っている方も居るような気がしますが、アニメ13話そのまんまです。イントロとアウトロは使えないのでPS3音源、かつ、歓声を付け足しています。
で、そこに竜宮小町と律子のソロ歌唱をMixしています。
竜宮組の歌唱もパート分けしてあるんですよ。
最後に調整でPrのオーディオエフェクト Reverb, Compressor, Dynamics をかけて音響と音の厚みと派手さを付け足しています。

今回はこんなところで。


■反省会
今回も事前に宣言はしていませんでしたので自分基準を満たせたかどうかで反省会
・制作スピード：◎
　　自分で決めたかなり無茶な期限日に間に合いました。
　　でももう正月から徹夜とかそういうバカはやりたくないですね(笑)。
・新必殺技の盛り込み：〇
　　アイマス2素材で初めて逆視点もできたし「俺ら」のバリエーションも増えたし、
　　アニメ再現のためという頭を使っていないモチベーションですが、よくできまし
　　た(努力賞)といったところで。
・動画の出来：△
　　やりたかったことは殆ど出来たのですが結構反省点が多いのです
　　　・雪歩のウインクタイミングずれ
　　　・「大空を飛ぶ鳥のように～」から雪歩のウインクまでのアングルは
　　　　もっと工夫できたなぁ
　　　・制作時間とのトレードオフなのですがロトブラシ抜きは結構雑です。
　　　　高速横スクロールで誤魔化していますがアホ毛なんかボロボロです。
　　　・未だにnukim@s-3を効率良く使えていないのは今後まずい。
　　　　ブルーバックが来てくれれば何の苦労もないのですがっ。懇願。
・ノリのいい動画にできたか：◎
　　アニメにはかないませんが、アニメの勢いを何とか再現できたかな、と。
　　まさか勢い余って弾幕動画に化けるとは思っていませんでしたが。
　　※映像編集に頑張った動画なので「お前らの愛で見えない」のはちょっと
　　　残念ですが、弾幕はニコ動の華ですからこれでいいですね。

ただとにかく大変ウケたようなので全体的には良し！です。
まず何より自分が無限ループで観ています(笑)


■次回作
まだ多くの課題曲を積んでいる状態なので、どれにするか決めていません。
いずれにせよ、最大の課題は時間作りですね。自分REST@RTは年末年始に徹夜
しまくってできましたが今後はそうもいかないので。


以上、ここまで長文を読んで下さってありがとうございました。